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血盃異聞 その7

ずいぶん間が空いてしまいましたが、以前書きかけだった駄文の続きです。
なるべく早くに完結させたいです。

これまでの話

血盃異聞 その1 http://moocontinent.blog65.fc2.com/blog-entry-935.html
血盃異聞 その2 http://moocontinent.blog65.fc2.com/blog-entry-936.html
血盃異聞 その3 http://moocontinent.blog65.fc2.com/blog-entry-937.html
血盃異聞 その4 http://moocontinent.blog65.fc2.com/blog-entry-938.html
血盃異聞 その5 http://moocontinent.blog65.fc2.com/blog-entry-939.html
血盃異聞 その6 http://moocontinent.blog65.fc2.com/blog-entry-940.html


 わたくしは、おねえさまの願いごとが、思いもよらないものでしたから、吃驚して尋ねました。
「なぜ?」
 おねえさまは、
「なぜでも」
とだけ答えると、私の手を握り直しました。おねえさまの口元は微笑んでおりましたけれど、閉じられた瞼の奥で、おねえさまが、わたくしにどんな眼差しを向けているのか、わたくしには計りかねました。わたくしが、なおも答えあぐねておりますと、おねえさまは、静かに、優しく、
「だめ?」
と言いました。おねえさまに、そのようにお願いされてしまって、一体わたくしに断ることができましょうか。
「いいわ。わたしやるわ」
 なにもわからないままに、わたくしはそう答えたのでございます。 
 その時、今までじっと黙っていた丹七さんが声をかけてきました。
「お嬢様」
 それはいつになく強い調子でした。驚いて振り向きますと、丹七さんはいつの間にか正座をして、わたくしをじっと見つめておりました。丹七さんは、頭を下げますと、そのまま低く、静かに言いました。
「これが最後のお願いでございます。今のことは全部忘れて、どうぞこのままお帰りになってください」
 わたくしは、思わずおねえさまの顔を見ました。おねえさまは黙って天井を向いていました。その顔は彫像のようで、そこにはどんな感情も読み取れませんでした。でも、そんなおねえさまを見て、わたくしの決心はかえって固まったのです。わたくしは、また丹七さんに向き直りました。そうして頭を下げて言いました。
「ごめんなさい。わたし、おねえさまといます」
 丹七さんは、しばらく黙って下を向いていましたが、
「もう、後戻りはできませんぞ」
とだけ言って、またわたくしたちから背を向けてしまいました。
 その時です。表がにわかに騒がしくなり、雨戸が乱暴にドンドンと叩かれました。そしてすぐ外で、呂律の回らない叫び声が、荒々しく響きました。
「そこにいるんだろう、出てこい!」
 その声は、まぎれもなく、おにいさまのものだったのです。
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